いま桐箪笥の「磨き直しを」をしているのですが、染みや小さな傷などは鉋で削り取ってしまいます。また引き出しが全部で10杯、戸が4枚あるので、これらと本体との入れ込み調整するのにも鉋が必須です。ただ長年の塵芥などの微小の異物が少なからず噛んでおり、ときたま砂粒様のものにも当たることがあるため。、刃がすぐ切れなくなってしまいます。
それで日に何度も刃を研ぎますが、写真は研ぎあがったばかりの幅48ミリと30ミリの刃。灰色と黒で見た目にはまるで切れない鈍い刃のように思われるかもしれませんが、実際には逆で、正確にきっちりと研がれてある刃は光の向きによってはこのような外観になります。つまり角度が一定なので当たった光が乱反射を起こさないため「ぎらぎら」した表情にはなりません。とりわけ天然の仕上げ砥石を用いた場合、地金の軟鉄は曇った色合い、鋼は鏡面になり、その差がはっきり表れます。
右の刃の研いだ面の大きさが左右でちがっているのは、刃自体が左右で厚みが3mmもちがうからです。なんせ金物店の棚の隅っこに埋もれるようになって残っていたのを、言い値の1500円で買ったものなので。ただし切れ味はまずまずいい方です。