近所の方から桐箪笥(たんす)2棹の補修と磨き直しを頼まれました。なんでも亡くなったおばあさんが、今から約80年あまり前にお嫁入りしたときに持ってきたものだそうです。写真上の箪笥は2段重ねで幅87cm奥行×41cm高さ120cm、下の写真は3段重ねで幅94cm奥行43cm高さ166cmです。
だいぶ汚れや当て傷がついていますし、ところどころ壊れているところもあります。当工房に持ってきて詳しく点検してみると3段重ねのほうは100%桐材ですが、2段重ねのほうは一部にスギが使われており、また背板には合板が使われているので、3段重ねのものよりも時代的にすこし新しいものかもしれません。
ただしその合板はものすごくしっかりしていて、今どきの建材屋さんで売っているような合板よりずっと上等です。戦時中は飛行機の一部を合板で作ったそうですから、当時は高級素材だっかのかもしれません。
色が濃いのは単に日焼けや汚れではなく、もともとすこし色付けして(ヤシャブシの実などで)仕上げした可能性が高いです。
金具は完全にだめになっているものや紛失しているものがあります。また料金との関係でどこまでどのように手直しするかは思案どころです。