11/2〜8の個展に出す予定のものですが、ハードメープルを素材とした刳物(くりもの)を4個製作中です。写真は蓋の基本加工=掘り込みと成形が終わったところです。杢がうきたつように撮影ではすこし表面を水で濡らしています。大きさはいずれも径19cmほどの五角形・六角形・七角形・八角形で、一枚の板から連続的に木取しています。
ハードメープルは材木・木工業界の通称ですが、北米産のカエデ類のなかで比較的硬めのカエデの仲間をまとめてそう呼んでいます。対して比較的軽軟なカエデ類はソフトメープルです。もちろんいずれも樹種はいくつかあるのですが、材木としての見栄えや品質は見分けがつかないくらいに似ているので便宜的にハードメープル、ソフトメープルとされているというわけです。
ハードメープルはその名のとおりかなり硬い木で、しかも散孔材で緻密なため、切削加工は簡単ではありません。粗加工には機械も使うのですが、鋭利な刃物ですこしずつやらないと焦げ跡がついたり、最悪の場合は発火してしまうことさえあります。おまけに上記の材料の場合はキルテッドというしわ状の杢が生じているので組織が複雑にうねっており逆目が立ちやすく、欠損が生じやすいのです。
今回のハードメープルはもとの長い板の状態等で判断すると、おそらくはシュガーメープル(サトウカエデ)だろうと思います。カエデのなかでもとくに大きくなる樹で、日本産のカエデではイタヤカエデに近似した樹種です。