当工房の入口近くには胸高径で60cm以上もある大きなキリ(桐)が1本植えられています。毎年たくさんの花を咲かせるのですが、花期がすぎると道路や道ばたの草むらなどにたくさんの花が落ちてきます。
長さは6cmほどもあり、厚手で全体に細かい毛が生えたまるでフェルトでできているような花です。色合いは淡い紫で、ラベンダー色といったところでしょうか。咲いている花はもちろん美しいですが、地面に散った花もまたたいへん美しいと私は思います。
それは4年ばかり北洋を回遊したあと、自分が生まれた川にもどってきて産卵・放精し無事役目を終えたサケの、傷つき変色した屍に対面した際に感ずる美しさと同質のものです。