刻印とナンバリング

 

当工房では製品に「O2」と製造年月「2016.2」、または定番化している小物類であればその種類についての通し番号(シリアルナンバー)を入れています。お買い上げいただいたお客様はともかく家族にとっては、あるいは10年20年と経過してしまうと、どこで誰が作ったものかわからなくなることがあります。同じようなものを追加でほしいとか、修理を要するといった際にも連絡自体が不可能または困難になります。

そこでやはりなんらかの方法で、製造者と製造年くらいは入れたほうがいいと思います。ただし、表面にでかでかと表示したのでは品がないので、目立たないところに、しかししっかりと入れるというのがベターです。そのため当工房では通常は機械のナンバリングなどに用いられる打刻印を用いることが多いのです。これは鋼でできたアルファベットや数字の印を、製品の木部にハンマーで打って刻み付けるので「目立たず、しかししっかりと」という目的によく合致します。他の工房ではあまり例がないのもいいところかと思います。

しかしながら、今年10月の個展向けに作っているような一点ものの場合は、工房名だけでなく個人名と固有のナンバーなども入れたほうがいいと思い直しました。そういった希望もありますし、ここ10年くらいは私一人でものを作っているので、実際のところ木工房オーツー=大江進ではあるわけです。

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写真は現在製作中の蓋物の実の底の部分ですが、工房名と個人名はアルファベットの打刻印で、その品物の固有番号は焼き印(電熱ペン)で入れることにしました。他の方法も試してみたのですが、これがいちばんしっくりくる感じです。蓋物の場合は、かつ一品物の場合は蓋と実とは当然一対一の対応となるので、固有番号は蓋の裏側にも入れます。

また一品物は工芸品&装飾品的な要素もあるので、原則として保管用の専用の木箱が附属するのですが、それには電熱ペンによって日本語で品名・工房名・作者名・製造年月などを記入します。普通はそれらの名前などは箱に墨書することが古来からの慣例のようですが、私は書はまったくだめなのと、やはり他との差異をはかる意味もあります。

 

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