保護保管用木箱

 

先般の黒柿や栓縮杢などを素材にした被蓋くり物などの一点ものは、工芸品的な扱いをして飾り棚などに出したりしまったりすることもあるので、傷つかないようにするためにその品物に合わせた大きさと仕様の専用の木箱が必要です。通常は桐材が使われることが多いのですが、当工房では現在、桐は在庫もありませんし使用していません。そこで白っぽい針葉樹でヤニなどもないスプルス(またはスプルース。ベイトウヒ)の無地柾目板で箱を作っています。

保護保管用の容器とはいえ、やはり素人のものではないと思ってもらえる程度の品質は必要です。仕上げは無塗装の素木のままですが、接合精度などは家具などのそれに準ずるものです。

下の写真は木箱の側面を組み立てているところですが、板同士は小根ホゾという仕口で組んであります。ホゾの厚さを溝巾よりもやや厚めにこしらえ、木殺しをしてからゴムハンマーで叩いて入れるのですが、木工用ボンドも丁寧に塗布して、乾くまで箱組専用の紐式クランプできつく締め付けます。箱の底に薄いベニヤ板が見えていますが、これは側板が直角に組まれるようにするためのガイド用で、実際の底板や天板(蓋)は側板と同様にスプルスの無地柾目板になります。

こうした箱だけでもひとつ数千円はかかるので、中に収納する品物はとうぜんながらそれより一桁以上高価なものでなければ、結局足が出てしまいますし、バランスがとれません。

2枚目の写真は、1枚目の写真とは別の以前のものですが、やはり被蓋くり物の一品ものを納めた箱です。品名や作者名(工房名)などは電熱ペンで焼き入れで表記しているため、薄れて消えしまうことはありません。

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