先月、明治中頃に建てられた住宅を解体した際に出たケヤキ等の木材や、建具・什器類を整理がてら一部をもらいうけました。痛んでいる材料や古い建具などは再利用は困難ということで結局廃棄処分せざるを得ませんでしたが、ふすまの引手はまだ使えそうなので慎重に取り外しました。材質は真鍮または銅製で、底は梨地仕上その他は黒漆を塗っているようです。
下の写真がそれですが、左は桜(あるいは梅?)、右が竹でしょう。大きさは径30〜40mmくらいですが、すくなくとも明治中頃かそれ以前に作られたものかと思います。つまり100年以上経っていることになります。ふすまは本格的な作りのもので、枠材はヒノキで鎌ホゾで組んであり、中は障子のように細い木桟の格子に和紙の反故紙を何重にも下張りしてありました。表面は厚手の和紙に金泥や金箔を用いて松などを意匠的に簡潔に描いたもの。ただその紙は染みや破れがあって再利用は不可です。
引手についてあらためて調べてみると、金属製で手作り的なものだと一個数万円くらいはふつうで、なんと10万円を超えるものまであるようで驚きました。今回の引手が、よく時代劇に登場するいわゆる飾り職人がこつこつと手作業で作ったものかどうかは定かではありませんが、裏側などの細部をみるとすくなくとも機械で大量に量産したものではなさそうです。
まったく和風のものなので、当工房の基本的なスタイルとはマッチしませんが、なんとか何かに活用してみようと考えています。