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登拝道の洗掘

 

5月28日に鳥海山南面の「旧蕨岡道探訪」を行いましたが、写真はそのときの1枚です。一見ごくふつうの写真のようですが、じつは蕨岡道が鳥海山の頂上に至る登拝道としてかつては非常ににぎわったことを如実に示すものです(写真は参加されたIさんから撮っていただいたものです。Iさんありがとうございます)。

あまりにも人通りが多いと草木が生える暇がありません。ことにこのあたりの地質のように泥っぽい柔らかくもろい土壌の場合は、いったん地面がむき出しになり裸地化してしまうと。雨がふるたびに土砂が流されてしまい溝がどんどん深くなります。これを洗掘(せんくつ)といいます。

このV字型の溝は深さ2〜3mあります。洗掘する前の地形は写真の左上の角から右側の上から三分の一くらい下がった所を結んだ線になります。大物忌神社蕨岡口ノ宮を起点とする旧蕨岡道は千年以上の歴史のある登拝道ですが、修験者や一般庶民が大勢利用した結果、ここまで深くえぐれてしまいました。もちろん地質がもっと堅固で傾斜もゆるい場合はこれほど深くはありませんが、この前後の他の地点でも1〜1.5m程度の凹地形はたくさんあります。人が歩いただけでそんなに削られるものかと疑問に思われる方もいるかもしれませんが、仮に1年に2mmずつとしても千年経てば2mにはなる計算です。

あまりにも深く急傾斜で細くなってしまった道はたいへん歩きにくいです。すれ違いもままになりませんし、いったん強い雨となれば道がたちまち川と化してしまいます。そのため必然的にもとの道と平行するようにバイパスができてしまうのですが、写真の地点でもすぐ右側にバイパスと、バイパスのバイパスがあり、計3本の道ができていました。

この道は戦後はほとんど利用する人がいなくなり、すっかり廃道となっていたのですが、20年近く前に一帯の湧水を調べているときにこの道の跡に遭遇しました。私および当時遊佐町に毎年体験学習で来訪していた東京都武蔵野市の小学校5年生にも手伝ってもらい、湯ノ台口の南高ヒュッテ近くの分岐点から水呑ノ池までの刈払を行った結果、またいくらかは歩く人が増えたように思います。ただし一般的な登山道とはいえないので、今回の探訪でも部分的に薮がかぶっているところがありました。また一度きれいに刈払をしなければと思います。

 このあたり一帯は昔からクマが多いことで知られています。くれぐれもご注意を。(写真は参加者のIKさんからいただいたものですが、写っている方の顔はぼかしを入れています)